小児歯科
小児歯科は成長発育期にあるお子さんの虫歯の予防や治療を専門に行う診療科です。歯は生後約6カ月頃に乳歯が生えはじめ、2歳半頃までには約20本の乳歯が並びます。そして6歳頃から永久歯への生え変わりが始まり、13～15歳頃に永久歯が生え揃います。そうしたお子さんのお口の変化、成長に悪い影響を与えないよう治療計画を立てながら診療を進めるのが小児歯科の大きな特徴です。虫歯・歯肉炎（歯ぐきの炎症）の予防と治療、歯並びやかみ合わせの矯正などをお子さんの成長に合わせて継続的に行うとともに、不良習癖、生活習慣や食生活の改善指導を一環して行います。
歯科医院が初めてのお子さんにはまず歯科医院に慣れてもらい、続けて来られる様になることが大切です。先ずはチェアーに寝ることから始め徐々に治療、ケアへとすすめていきましょう。
お子さんの口の中に関して、不安やお悩みがございましたらどんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
乳歯は永久歯よりも柔らかいため、虫歯になりやすく、また急速に進行します。歯の溝や歯と歯の間から無症状で進行することもあり、外からではほとんど気づかないこともあります。また、乳歯が虫歯のまま放置していると新しい永久歯に影響を及ぼしてしまいます。
子どもの虫歯の原因に「歯みがきが上手くできない」ということです。歯の汚れ（歯垢）を落とすには、正しい歯のみがき方を覚える必要があります。歯みがきが不十分なため磨き残しなどが生じ、虫歯の原因となってしまいます。また、乳歯は永久歯に比べてエナメル質や象牙質と呼ばれる歯の構造が薄いことも挙げられます。そのため、浸食が早く、進行しやすくなります。乳歯が永久歯と比べて溝が多く深いことも原因の一つで、食べかすがたまりやすく、磨き残しも多くなりがちです。
虫歯には必ず原因があります。せっかく治した歯や新しい歯が虫歯にならないようにしっかり予防していきましょう。
歯磨き指導
幼少期のうちから歯みがきの習慣をつけることはとても大切です。お子さんが痛い思いをして歯みがきを嫌がってしまわないように、歯ブラシを少しずつ口に入れて、口の中を触れる感覚に慣れさせていきましょう。虫歯になりやすい、汚れが残りやすいという部分がありますので、そのようなところを重点的にみがきましょう。正しい歯みがきの仕方を歯ブラシの持ち方からアドバイスいたします。お父さん、お母さん向けに仕上げの仕方などもお伝えします。
フッ素塗布（フッ素化物）
フッ素は歯質の再石灰化を促します。歯の表面では脱灰と再石灰化が絶えず繰り返されています。そのバランスが脱灰に傾く初期虫歯へと進行していきます。しかし、フッ化物の応用で脱灰した歯の組織を再石灰化させることが可能です。フッ素塗布はとくに乳歯や生えたての永久歯への虫歯予防の効果が大きいとされています。フッ素塗布による虫歯予防は、乳歯が生え始める1歳前後から始め、3～4カ月に1回程度、定期的に継続するのが良いでしょう。ただし、フッ素を塗ったから虫歯ができないというわけではありませんので、お子さんのご自身の歯みがきやお母さんの点検みがきは忘れずに行うようにしましょう。
シーラント
シーラントは虫歯になるリスクが高い歯の溝を、歯科用プラスチックで塞ぎ、汚れがたまらないように処置する治療です。乳歯は形が複雑なため、シーラント処置は効果的です。とくに奥歯の深い溝は汚れがたまりやすく、虫歯になりやすいところです。奥歯が萌出したらできるだけ早いうちに溝をコーティングするシーラント処理をお勧めします。また萌出したての永久歯にもシーラントによる虫歯予防は効果的です。
定期検診
当院では、お子さんが自分から行きたくなるような歯科医院をめざしています。スタッフ一同で、お子さんが楽しみながら定期的に治療を受けてもらえるような工夫をしています。一般的な歯医者さんで治療がうまくいかなかったというお子さんや、小さなお子さんでもお気軽にいらっしゃってください。
厚生労働省の「歯科疾患実態調査」によると、小・中学生の4割が歯肉炎というデータがあります。学校の歯科検診などで歯肉炎を指摘される子どもは多く、年々増加傾向にあるといわれています。
歯肉炎とは、細菌のかたまりである歯垢が引き起こす歯肉の炎症で、腫れたり、出血しやすくなったりする状態をいいます。子どもの歯周炎は、歯を支えている歯槽骨の歯周組織には大きな変化はみられません。しかし、放置してしまうと、大人になって歯周病にかかり、歯が抜け落ちてしまう可能性もありますので、きちんと治療しておくことが大切です。
一般的な歯肉炎は痛みを伴いません。そのため自分では気づきにくく、放置してしまうことも多い疾患です。時々お口の様子を見て、「歯間部分の歯肉が赤く丸みをおび、ブヨブヨした感じがないか」「歯磨きや食事などの軽い刺激で、歯肉から出血していないか」などをチェックしてください。健康な歯肉はピンク色で引き締まっています。子どもの歯肉炎には、最も多くみられる不潔性歯肉炎（歯垢がたまることで、歯茎の発赤、腫脹、出血症状などが起こります）、萌出性歯肉炎（永久歯が生える時に起こります）、思春期性歯肉炎（10〜15歳に思春期のホルモン変化により、起こりやすくなります）などがあります。
歯肉炎と診断されたとしても、正しく歯みがきをして、定期的なクリーニングなどを受け、しっかりケアをすれば多くの場合改善します。ご家庭で有効なのが歯ブラシによるブラッシングです。歯と歯肉の境目に歯ブラシの毛先をあてて、軽く振動させるように動かしてください。磨き残しがないように数週間程度続けると、出血もなくなり健康な歯肉に戻ります。歯ブラシの仕方に不安のある方はご相談ください。
歯肉炎は歯周病へと移行させないことが大切です。たかが歯肉炎と、放置せず、ご家庭での正しい歯みがき（ブラッシング）と、歯科でのクリーニング（プロフェッショナルケア）などを利用して、しっかり治療しましょう。
リラックスして治療を受けて頂くための鎮静法で、歯科治療に不安やストレスを強く感じてしまうお子さんに効果が期待できます。鼻から笑気（笑気ガスと高濃度酸素を混合したもの）を吸うことで鎮静状態が得られます。治療後、笑気は速やかに体外に排泄されます。副作用が非常に少ない鎮静法で、安全性は高く、全国の病院歯科や小児歯科専門医院などでも長く使用されています。
当院では日本歯科麻酔学会 専門医が常駐しており、より安全に笑気を用いた鎮静法を行うことができます。